課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「大丈夫です、お義母さま。
 私も料理、苦手なんです」

 雅喜が聞いていたら、なにも大丈夫じゃないぞ、お前ら、と突っ込んできそうだった。

「そうなの?
 貴女とは気が合いそうね。

 料理というのはね。
 作るものじゃなく、味わうものよ。

 真湖さん、今日で雅喜のところに帰っていいけど、お夕食は、つきあってちょうだい。

 ぜひ、貴女に食べさせたいお寿司があるのよ」

「はい、ぜひ。
 あ、でも、課長が明日の服を見に連れていってくださるそうなので、少し遅くなるかもしれませんけど、いいですか?」
と言うと、響子は嫌な顔をする。

「じゃあ、雅喜もついて来ちゃうじゃないの」

 ……置いていくつもりだったんですか? 息子さん。

 まあ、仕方ないわね、と言ったあとで、
「服なら真湖さん、私の着物を貸してあげてよ」
と言ってくる。

「あ、いえ……結構です。
 ありがとうございます」

 はは、と笑った。

 お義母さん、着物で仕事、出来ません〜っ。

 やっぱ、この人、変わってるな〜と思ったとき、背後に雅喜が立っているのに気がついた。

「なに勝手に話を進めてるんだ……」

 せっかく俺が此処から解放してやろうと頑張ってたのに、という顔をしていた。