課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 いっそ、突っ込んでください、言い訳しますから、と思ったのだが、流された。

「真湖さん、お寿司はお好き?」

「えっ、はいっ」

「じゃあ、夕食はお寿司を取りましょうか。
 それとも食べに行く?」

「よろしければ、私が握りましょうか?」
と気心が知れているらしいそのシェフが問うてきた。

「そうね。
 それでもいいわね。

 どうする?
 真湖さん」

 もうどのようにでもしてください、とまな板の上の鯉のような気持ちで居ると、雅喜が、
「お母さん、沢……真湖は、今日はもう新しいアパートを決めて、そっちに移るから」
と割って入ってくれる。

「あら、そんなにすぐ入れるかしら?

 仕事が終わってから探すんでしょう?

 うちはずっと此処に居てくれてもいいのよ」

 か、勘弁してください……。

 雅喜がなにか反論してくれていたようだが、このまま響子のいいように話が流されていきそうな絶望感から、耳には入らなかった。

 だが、その割に、料理だけはちゃんと味わえたのだが。