課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「貴女、私が怖い?」
とふいに訊かれる。

「……は、はあ、すみません。
 なにせ、課長と同じ顔していらっしゃるので。

 課長、怖いんですよ、職場では~」
とその製作者に訴えてみた。

 最早、雅喜さんと呼ぶことは諦めている。

 響子は笑ったようだった。

 職場での息子の様子が容易に想像できたからだろう。

 立ち上がり、
「雅喜はまだ寝かしておいていいから、食事にいらっしゃい。
 もう用意させてるから」
と言う。

 用意させてる……。

 するじゃないんだな、と苦笑いしながら、はい、と返事をした。

 響子の足音が遠ざかったあとで、真湖は寝ている雅喜に向かい、小声で呼びかける。

「課長~。
 ひとりでご飯食べに来いって言われちゃいましたよ~」

 怖いんですけど~、と小さく訴えてみたが、雅喜を起こすのも忍びない感じがしたので、そっと立ち上がり、部屋の隅で着替えることにした。