課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「悪かった悪かった」
と雅喜は、たいして悪くもなさそうに言う。

「まあ、ああ見えてあの人忙しいから、そんなに構ってはこないだろうよ。
 なんだったら、しばらく、ゆっくりしてったらどうだ」

「嫌ですよーっ」

「まあ、今日はもう寝ろ」
と言い、行こうとするので、

「待ってくださいよ。
 何処に行くんですかっ」
と雅喜の腕をつかむ。

「部屋に戻って寝るんだよ」

 当たり前だが、こちらにも雅喜の部屋はあるようだった。

「私を見捨てるんですかっ」

「だからって、此処で寝るわけにはいかないだろうがっ」

 そりゃそうだ。
 あの『お義母様』が、何処から見ているかわからない。

「じゃあ、私が寝るまで見ててくださいよ~」
と言うと、はあ? と言う。

「課長が帰ってきて私を起こしたとき、目が冴えたのなら、私が寝るまで、つきあってやるって言ったじゃないですかっ」

「いや……
 言ったか?」

「その辺から、日本人形が笑いながら出て来たり、長刀持った甲冑の人とか現れたらどうするんですかっ」

「今まで住んでて出て来たことないぞ、そんなもの」
と言われたが、真湖は、雅喜の手をつかんで離さなかった。