暗闇の中、その大きな日本家屋は一等地の地価を物ともしない大きさで立っていた。
「あの、これ、家なんですか?
なんか、でかい料亭なんじゃ……」
響子はさっさと中に入ってしまったが、真湖はまだいい木の香りのする門の前に立っていた。
いや、予想はしてましたけどね、と思う。
あの課長のマンションと爺さんの傘寿の会場で。
「……課長、離婚させてください」
「まだ結婚してないだろう」
だって怖いよ、こんなでかい屋敷。
きっと中には、甲冑来た鎧武者とかが居て、やはり、成敗されるに違いない。
そんなことを考えている間に、雅喜は、真湖の少ない荷物を持って、さっさと中に入って行ってしまった。
待て、このくそ課長~っ、と真湖は慌てて後を追った。



