課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 課長にも怖いものがあったのか……と思いながら、
「お、お茶でも淹れます」
と慌てて立ち上がり、キッチンに向かった。

 雅喜の母はソファに腰掛け、ちょっと胡散臭そうに辺りを見回していた。

 あの雅喜の母親だ。
 簡単には騙せそうにない。

 追ってきた雅喜が、すまん、と謝る。

「課長、どんだけお母様が怖いんですか」
と言ってやると、

「怖いっていうか……。
 ああ、まあ、怖いが。

 容赦ないうえに、人の話を聞く耳持たない人でな」
と言ってくる。

 最悪じゃないか。

「わかったろう。
 俺はマザコンじゃない。

 ただただあの親が怖いんだ」

 いや、それも一種のマザコンですよと思ったのだが、なんだか雅喜が哀れで言えなかった。

「それで、真湖さん、いつから此処に住んでらっしゃるの?」

 ふいに、尋問の手がこちらを向いたようだった。