課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 雅喜の母はその切れ長の目でこちらを見、
「では、貴女は望んで、雅喜にその身を捧げたのですか」
と言い出す。

「さ、捧げてません〜っ」
と言ってみたものの、パジャマでこんな時間に此処に居る理由を今、延々と語っても聞いてもらえそうにはなかった。

 雅喜もそう思ったようだ。

「お母さん、誤解です」
と割って入る。

「手篭めにしたのでも、騙して連れ込んだのでもありません」

 いや、なんか強引に連れてこられたのは確かだが、と思っていたが、此処で反論するのは得策ではないので。

 矢面に立ってくれている雅喜の後ろに隠れて、真湖はただ祈るように頷いていた。

「お母さん、僕はこの人と、結婚を前提におつきあいしています」

 なにーっ!?

「沢田」
と振り向いたその顔には、ともかく、黙って頷けと書いてあった。

 ……課長、貴方、今、私を売りましたね、と思ったが、自分も怖い。

 素直に従った。

「は、初めまして、沢田真湖と申します」
とその場に手をつき、頭を下げた。

 勢い余って、礼拝のように拝んでしまう。

「本当ですか? 雅喜さん」

「ほ、本当です」