課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「貴方、こんな年端もいかないようなお嬢さんを連れ込んでっ」

「い、いやいやいやいやっ。
 お義母さまっ」

 初対面の課長のお母さんにお義母さまもどうだと思ったのだが、他に呼びようもない。

「あのっ、すみませんっ。
 私、子供じゃないですっ。

 課長の部下で、沢田と申しますっ」

 すっぴんで丸顔なので、子供かと思われたようだ。

 微妙に傷ついた。

「部下?」
と更に雅喜は母に睨まれる。

「雅喜さんっ。
 貴方、権力を振りかざして部下を手篭めにするとは何事ですかっ」

 されてませんっ。

「してませんよっ」

「このお嬢さんにお詫びして、切腹なさいっ」

 ひいっ。

 如何にも武家の血を引いてそうな雅喜の母は迫力があり、間近に見上げていると、本気で課長が切腹させられそうで怖い。

 黙っていた方がいいかもと思いながらも、雅喜が可哀想になり、つい、口を挟んでしまう。

「切腹って。
 あのっ、被害者の(?)私がそこまで望んでいませんがっ」

 思わず、叫びながら、なんの被害者だ、と自分で思っていた。