課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「お祖父様ももうお年だから、心配性で、貴方になにかあったんじゃないかと心配されてね。
 仕方ないから、私も電話してみたんだけど、貴方、出ないじゃないの」

 だから来てみたのよ、とその声は言う。

 確かに……。

 これは彼女より、ヤバイ人かもしれないと思った。

「もう〜、貴方、さっさと結婚でもしてちょうだい。
 仕事となると、電話にも出やしないし。

 奥さんでももらって、もうちょっとなんとか……

 あら、この靴はなに?」

 ひいっ。
 予想通りの展開にっ。

「あ、今、ちょっと客が……」
と言っている間に、雅喜の母は上がってきたようだ。

 挨拶もなく扉が開く。

「こ、こんにちは……」

 二人がもめている間、一緒に緊迫しながらも、何処かに隠れるのなら、このケーキを持って、と思った真湖はケーキの皿をつかんでいた。

 たまたま遊びに来た風を装おうと思ったのだが、パジャマを着ている。

「雅喜さん……」

 雅喜にそっくりな、着物姿の美しい女が振り返らずに雅喜を呼んだ。

 はい、と小さな声で後ろから雅喜が返事をする。