課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「いや、心当たりはないが」

 そのままにしておこうかと思ったようだが、またチャイムが鳴る。

「なにかの勧誘とか?」
「十時半だぞ」

 そう言いながら、雅喜はふと、下を見た。

「いつ来ても居ないから痺れを切らして、この時間に来たとか。

 あ、でも、こんなセキュリティの厳重なところに勧誘の人とか入って来ないですかね」

 真湖がそう言ったとき、また、チャイムが鳴った。

「……なんで出ないんですか、課長」

「霊現象かもしれん」

「なんで突然霊ですか。
 課長は霊が見えるんですか」

「あいつじゃないのか、ほら、コウチャン」

「浩ちゃん死んでませんよ」
と言うと、莫迦、と言われる。

「霊の話じゃなくて、コウチャンがお前を追いかけてきたんじゃないのかと言ってるんだ」

「なんで、此処に浩ちゃんが入ってこれるんですか。

 ……なんかおかしいですね、課長。

 なんで出ないんですか、うだうだ言って。

 やはり、訪ねてきたのは、彼女ですか」
と言ったが、違う、と言う。

 だが、心なしか、顔が青ざめている気がした。

 さっき、下を見たあと、手許でなにかを確認してからだ。