課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 だって、なにもかも焼けちゃったんですもん、と言うと、
「金はどうした?」
と訊かれる。

「いや、それはキャッシュカードがあったんで」

「貸してやろうか」

「いやあの、これ以上は借りても返せませんから」

 既に借金がかさんでいる、と思っていると、雅喜は溜息をつき、
「服の一枚くらいなら買ってやる」
と言ってきた。

「とんでもないです。
 課長に服買ってもらうとか。

 それに、此処に住まわせてもらったうえに、服まで買ってもらったなんて、みんなに知れたら、愛人かと思われますよ」
と笑うと、雅喜は大真面目な顔で、

「……お前、愛人らしいこと、なにかひとつでもしたか?」
と訊いてくる。

「キスひとつで、服に家に旅行じゃ高すぎないか?」

「いやあの、旅行代は返しますってー」

 そう言ったとき、チャイムが鳴った。

 え、こんな時間に? と二人で時計を見る。

「なんでしょう? お客様?」

 いつもこんな時間に誰か来るのか。

 課長の恋人とか? と顔を見てみたが、雅喜も不審げだ。