既に家に馴染んでいる、と言う雅喜の言葉を、真湖は、心外だ、と思いながら聞いていた。
「めちゃめちゃ緊張してますよ〜」
とラグに座り、紅茶を飲んだ。
「あんまり物にも触らないようにしたし。
いや、この部屋、そもそも、あまり物ないですけどね」
雅喜は余計なものを置かないので、部屋全体がこざっぱりとしている。
物が少ない方がスタイリッシュに見えるというのを体現したかのような部屋だ。
私には出来ないな、と真湖は思った。
「お風呂だって、此処までホテルの浴室でも気を使わないってくらい、綺麗に使いましたよ」
「いや、そこまでしなくていい」
と雅喜は言うが、会社での勢いのまま、自宅でも怒られそうで、つい、きちんとしてしまう。
「ところで、なんでそこに座ってるんだ」
とソファの雅喜が聞いてきた。
「いや、床の上の方が落ち着くんで」
そう言いながら、熱い紅茶を飲み、一息つく。
「そういえば、そのパジャマはどうしたんだ?」
ガーゼ生地で、小花柄のパジャマを指で引っ張りながら、真湖は言った。
「買ったんですよ〜。
明日の服も買ったんですよ〜」



