課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 頰に触れられた真湖は、くすぐったそうにしたあとで、自分に触れてきたその手をつかむ。

 そのまま、胸に抱きかかえた。

 まるで、母親の手だとでも思っているかのように。

「さ、沢田っ」

 慌てて手を外そうとするが、しっかり抱いていて外れない。

「沢田、おいっ。
 ケーキ買ってきたぞ、沢田っ」

 寝ている真湖にも届くかも、と思い、ケーキを連呼してみた。

「コンビニのじゃないぞっ。
 駅前で遅くまでやってるケーキ屋のだ!」

 真湖は、ぱっちり目を覚ました。

 頭の中で、今、なんの会話をしたのか、反芻しているようだった。

「課長」

「……なんだ」

「コンビニのも結構美味しいですよ」

「わかったから、手を離せ」

 真湖はまだ、逃すまいとするように、雅喜の手を胸に抱いたままだった。

 ああ、すみません、とへらりと笑って手を離す。