課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

 いつか聞いた音だ。

 それがなにかを思い出し、笑ってしまう。

 音がした方に行き、その部屋のドアを開けた。

 ……呑んだら、寝相が悪いって嘘じゃないか。

 常日頃から悪いんだろ。

 それとも、こいつ、一人が呑んだのか?

 真湖は昨日の火事の疲れからか、まだ十時だというのに、ぐっすり眠っていた。

 また、布団跳ね上げてるし、とちょっと笑い、側まで行った。

 上から覗いていると、真湖はなにを思い出したのか。

 枕を抱いたまま、ふふふ、と笑う。

「……やっぱり」

 やっぱり?

「やっぱり、雁木もお願いします」

 ……酒の夢か。

 しかし、酒を語っているわりには、寝顔は子供のようだ。

 つい、警戒することもなく、その頰に指先で触れてみてしまう。

 白くてすべすべして、気持ち良さそうだったからだ。