今日に限って、こんな時間か。
沢田はもう食べただろうか。
今日は遅くなるから、食べて帰るとは言っておいたが。
そう思いながら、雅喜は家のドアを開けた。
中はしんとしていて、人気がなく、暗い。
本当に沢田は居るのか? と思った。
なにも家の中のものは動いていないようだ。
誰も入ってなどいないかのように。
灯りをつけ、
「……沢田?」
と呼びかけた。
返事はない。
やはり、来なかったのだろうか。
あのコウチャンとやらのところに行ったのか。
なにがコウチャンだ。
コウタロウか?
コウジロウか?
電話の向こうから、真湖、と呼ぶのが聞こえた。
幼なじみかと思って、気安く呼びやがって。
そのとき、ドンッ、となにかを叩くような音がした。



