課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜





 結局、その日は礼子と夕食を食べに行ったが、礼子の好きな人の最新情報を提供し、なんとか話をそらして誤摩化した。

 帰り道、コンビニで最近見かけなくなっていたお気に入りのチョコプリンを発見したので。

 ソファに座ってそれを食べながらテレビを見ていると、やっぱり、あの夜の出来事は夢だったような気がしてくる。

 まあ、夢ではないにしても、お互いの中でなかったことにしてしまえば、それはなかったのと同じことだ。

 そう思ったとき、スマホが鳴った。

 なんだろう、とソファに置いていたそれを見ると、『五嶋雅喜』と表示されている。

 ……なんだ、これ。

 登録しているはずのない番号が出るとか、怪奇現象か?
と思いながらスマホを眺めていると、鳴り止んだ。

 幻聴だな。

 そして、幻覚だ、と思いながら、プリンをもう一口、口にし、テレビを見て、ははは、と笑ったとき、またスマホが鳴り出した。

 『五嶋雅喜』

 今、テレビでやってるドッキリに自分が出演している気分になった。