課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「お前の実家は?」

「うちの実家は、こっちじゃないです。
 浩ちゃんちが、たまたまこの辺りに越して来てただけで」

 ふうん、と言うので、
「じゃ、失礼します」
と行こうとすると、顔の前にバインダーが出て来た。

「いてっ」
 行く手を塞がれ、鼻を打つ。

「なにするんですかっ。
 もう~っ」

「うちに泊まれ」
「は?」

「うちに泊まってもいいぞ。
 部屋なら幾つかある」

 この間の宿と一緒だ、と言ってくる。

「ええ?
 でも、申し訳ないですからっ」

「いや、俺と炉端焼きに行ってなきゃ、燃え尽きずに済んだかもしれないじゃないか」

「いや、それだと、私もアパートと一緒に焼け落ちてたんじゃ……」

 たまたま誰も居なかったから、怪我人も出なかったけど、通報が遅れたみたいなんですよねーと真湖は言った。