課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「で、その消防士の浩ちゃんとやらが、颯爽と助けてくれたのか?」

「いえ、颯爽とホースを片付けてました。
 だって、帰ったときにはもう、アパート燃え尽きてましたからね」

「それで、そいつがホテルまで連れてってくれたわけか?」

「消防車に乗って、さっさと消えていきましたよ。
 あ、でも、心配して電話してくれてたみたいなんですけど。

 今朝まで、ホテルで充電器借りれるの気づかなかったので、スマホ切れたままで」

 ふうん、とまた雅喜は言った。

 如何にもどうでも良さそうに。

「今日から、アパート探しですよ」
と言いながら、そういえば、課長に頼まれたんじゃないかと彼にバインダーを渡す。

「一度借りたら変わらないだろうから、とりあえず入るってわけにも行きませんしね」

「それまで、ホテル暮らしなのか」

「んー、まあ、そうなるでしょうね。
 浩ちゃんがうちに泊まれって言ってくれたんですけどね」

「久しぶりに会ったんだろう?
 えらく軽い男だな」

 いやいやいや、と真湖は手を振った。

「浩ちゃん、実家住まいですから。
 おばさんたちもよく知ってるんで、おばさんが来いって言ってくれたみたいなんですよ」