「なんでいきなり、壁塗りの話になるのよ。
まず、柱を立てなさいよ」
外を通っていた雅喜は、給湯室から漏れ聞こえる会話を聞きながら、
さすが、沢田の友達だ。
二人とも論点がずれているうえに、緊迫感がない、と思っていた。
それにしても、さっきの、『浩ちゃん』って誰だ?
少し電話の声が漏れ聞こえていた。
あのしゃべり方からして、ハスキーな声の女、というわけでもなさそうだった。
焼け出された火事場でその同級生と再会して、泊めてもらったとかじゃないだろうな。
……まあ、俺には関係のないことだが。
と通り過ぎたあとで、振り返る。
真湖と礼子はまだ間抜けた会話を繰り返しているようだった。



