「あっ、真湖。
昨日の服じゃない」
うっ。
上着を脱いでみたんだが、やっぱりわかるか、と真湖は苦笑いする。
給湯室で、真湖のブラウスを引っ張りながら、礼子が言った。
「なに、課長とお泊まり?」
「いや、それで昨日と同じ服で来るとか間抜けが過ぎるでしょうよ。
火事よ」
「何処が?」
うちが、と言うと、
「あんた、なに呑気にお茶淹れてんのよ」
と言ってくる。
「いやー、焦ったって、私がアパート建て直せるわけでもないでしょうが。
不器用だから、壁塗りも出来ないよ」
と言うと、
「なんでいきなり、壁塗りの話になるのよ。
まず、柱を立てなさいよ」
と言われた。



