「おはようございます」
朝、デスクを拭いていた真湖は、やってきた雅喜に挨拶をした。
「おはよう」
と返しながら、物言いたげな彼に、
「どうかしましたか?」
と訊くと、
「いや、どうしたんだ。
早いじゃないか」
と言ってくる。
真湖がこんなに早く来ることはないからだろう。
まだ他に誰も来ていない。
「そういえば、昨夜、あれから電話が通じなかったが」
「ああ、すみません。
課長が無事に帰ったか、気にはなってはいたんですけどね」
と言うと、逆だろう、と渋い顔をされた。
「心配してかけてくださったんですか?」
と言うと、雅喜はいつもの切り捨てるような口調で、
「そういうわけじゃない」
と言う。
相変わらずだな、と思いながら、はは……と笑うと、
「杯をまた返し忘れたから気になっただけだ」
と素っ気なく言いながら、雅喜はデスクに鞄を置いた。



