課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「っていうか、たぶん、課長の中ではなかったことになってるし」

 雅喜は、酒の席で無礼な口を聞いていたことついては言及してきたが、あのキスに関しては、一切触れてこなかった。

 覚えているのかいないのか知らないが、彼の中でなかったことになっているのは確かなようだ。

「心の問題じゃなくて、実際なにがあったか訊きたいのーっ」

 いや、あんた暇だな、と思いながら、礼子に腕をつかまれていた。