課長の瞳で凍死します 〜Long Version〜

「そうなんだろうが、余計なお世話だ」

 思わず笑うと、
「なんだ?」
とこちらを見る。

「いえ、初めて課長が、自分とあまり年の変わらない男の人に見えたので」
と言うと、小さく、……莫迦か、と言って、目をそらす。

「初めて課長の方から目をそらしましたね。

 私、ずっと課長と目が合わせられなかったんですよ。

 なんだか、冷たい人に思えて」

「話もしないのに、冷たいかどうかなんてわからないだろ」

 それはそうなのだが、既にその視線だけで、充分、冷え冷えしてくるんだけど、と思っていた。

「まあいいから、具合がよくなったら、戻れ」

 そう行きかけてまた戻る。

 この人、結構動きが妙だよな、と思っていると、
「鍵は開けていくから、また寝るんならかけておけ」
と親のようなことを言ってくる。

 いや、それだと、安田さんが来てくれても入れませんが、と思ったのだが、逆らうのも怖いので、
「はーい」
と言っておいた。

 実のところ、もうそんなに痛くはなかったのだが、課長と一緒に戻るのもな、と思ったので、少しずらして、フロアに戻ることにした。