甘く苦い、毒牙に蝕まれて





「え……一緒に帰れない?」



お昼休み。

中庭でご飯を食べながら、私は一緒に帰れないと伝えた。



「何で?」


「先生に居残りするように言われちゃって……数学の課題、やるの忘れちゃってて。残ってやりなさいって」


「本当に?」


「うん……本当だよ……」



真守くんは「そっか」と言って。




「じゃ、終わるまで待ってるから」


笑顔でそう言った。



「先に帰ってていいよ。遅くなっちゃうと思うから……待たせるの、悪いから」


流れる沈黙。
嘘だって勘付いたかな?