甘く苦い、毒牙に蝕まれて






『ねぇ、まひろちゃん……最近あの子、ずっと部屋に引きこもってるのよ。中3の大事な時期だっていうのに……。だからね、悪いんだけど、あの子に学校に行くように説得してくれないかしら。きっと、まひろちゃんの言う事なら素直に聞くと思うから……お願い』



真守くんのお母さんがうちに来て、頭を下げられて、断れなくて。


私は彼の家に行った。



真守くんはあっさり私を部屋に入れてくれた。




『真守くん……学校、来れないかな?お母さん、心配してるし』


『……行かない。まひろちゃんは僕より、他の子がいいんでしょ?』


『そういうわけじゃ……』


『何が違うわけ?他の子とは楽しそうにしてるのにっ……』



彼がこうなったのは、明らかに私のせいだ。

私が距離を置いたから。