甘く苦い、毒牙に蝕まれて





「それは、こっちのセリフ」



生意気なのは、あんたもだよ。




「そりゃあどうも。あ、そうだ!いい事を教えてやるよ」


ニヤッと嫌な笑みを浮かべながら、




「実はあれ、俺の自作自演なんだ」

と僕の耳元で言った。




「……は?何、それ」


「つまり、俺は財布を自分であんたのカバンに入れたって事。あんたに盗まれたって見せかけるために」


「何のために……」


「ちょっと刺激的な事が欲しかったから。毎日勉強ばっかでつまんない学校生活に、新しい風をって思って。ターゲットをあんたにしたのは、いっつもぼっちでクラスの幽霊みたいな奴だったからだよ」