甘く苦い、毒牙に蝕まれて






「……教室戻りますから」


「あ、おいっ」



先生の言葉を無視して、さっさと職員室を出た。




「あ、説教終わった?」


「……」



廊下には、壁にもたれかかる多崎がいた。

もちろん無視した。


なのに多崎は僕の後をついてきて、




「あんたって、生意気な奴なんだな。単に地味で大人しい奴って思ってたのに」


わざわざ嫌味を言ってきた。