甘く苦い、毒牙に蝕まれて




多崎の前に立って、右手を差し出してこう言った。



「あの件は水に流すって事で、いいだろ?」


「……お前が、それでいいなら」



若干、気まずそうにしながらも、多崎は右手をしっかりと握った。



この光景を見ていたクラスの奴らは、


「これって、解決って事でいいのか?」


「ま、まぁ、当人同士がこれでいいなら……」


「別に俺らが口出しする問題でもないしなぁ」


「いつまでもこの話を引きずってても仕方ないし」



といった感じで、納得したようだ。



なんだかんだで丸く収まった。




「……多崎、何で今更、弁解した?」


「昼休みに、いろいろ話すよ。どーせ一緒に過ごす相手、いないんだろ?」


「失礼だな。確かにいないけど」