甘く苦い、毒牙に蝕まれて




僕はこの状況を、他人事同然で傍観してた。

多崎の友達2人もそうだ。
何もせずに、傍観してるだけ。


正直、多崎の事はムカついてた。



財布を盗んだ犯人に仕立て上げられて、心底ムカついた。


こんな奴、大嫌いだと思った。




「多崎くんって結構陰湿なんだね」


「ほんと、酷いよ」


「おい多崎ー!お前、ちゃんと謝罪しろよー!」



でも、傍観者じゃダメだ。

無関係じゃない。

これは、多崎の問題でもあると同時に、僕の問題でもある。




「お前ら、静かにしろっ!」


これでもか!ってくらい、大きな声を出した。

今まで生きてきて、こんな大声出したのは、下手すれば初めてかもしれない。


僕の声で、教室内はまた静けさに包まれた。



「もうこの件は、水に流すつもりだから。無関係なあんたらは、とやかく言うな。今後一切、この話題をするのは禁止だ」


そう言って、多崎の元へ足を進めた。