甘く苦い、毒牙に蝕まれて




「最近さー、妙に近藤クンと親し気じゃない?財布を盗んだ相手とよく仲良くできるなー」


「どーいう風の吹き回しかな?」



えっと、こいつら誰だっけ?
多崎の友達って事は確かだが、名前が思い出せんな。



「白石……辺ちゃん……これは、えっと」



あ、そうだ。
茶髪のテンション高くて馬鹿そうな方が白石で、黒髪に垂れ目の方が田辺だ……。




「あのさ、お前らっ!ちょっと聞いてほしい事あるんだけどっ!」


2人の名前を思い出した時、教室中に大きな声が響き渡った。

いつの間にか多崎が教卓の後ろに立っていた。


クラスの奴らは一切に静かになり、多崎に注目している。



「実は近藤が俺の財布盗んだってのは、嘘なんだっ!俺の、自作自演」



なっ、何で?

こいつ、マジで馬鹿?

今更、みんなの前でそんな事を言う必要なんかないだろ。



「はっー!?」


「マジかよっ!あれって嘘だったのか!」


「自作自演とか、引くなー」


「多崎、さいってー!」


「人騒がせな事すんなよっ!」



飛び交う非難。

白石も田辺も呆然としている。



「ちょっと、刺激が欲しくてさ……近藤なら、どうせ友達いないから悪者になってもいいやって思って」


あちこちから聞こえる非難の声。