甘く苦い、毒牙に蝕まれて




「それにね、僕、知ってるから。まひろちゃんが僕の前じゃ、作り笑いしかしないって事」


「えっ」


「気づいてないとでも思った?馬鹿だね、何年一緒にいると思ってんの?普通に考えて気づくに決まってんじゃん」



きっと、気づかれてないと思ってたんだろう。

意表を突かれたような顔してる。


でも、不思議とそういう事は嫌でも気が付いちゃうもんなんだ。



「もう僕の前じゃ、笑顔になんてなれないんでしょ?」



周囲の喧騒が遠くに聞こえた。

僕らがいるここだけ、異空間みたいだ。




「……私は、真守くんの事、ずっと弟みたいな存在だと思ってた」


「……うん」


「何をする時もついて来て、可愛いなって思ってたの……昔は」



可愛いって……。
一応、僕も男なんだけどな。