甘く苦い、毒牙に蝕まれて




「いきなり何なのっ……どういうつもり?」


さっきまでの笑顔とは打って変わって、戸惑いや怒りが混濁したような表情をしている。

でも僕は冷静な態度で、



「ただ、一緒に帰りたいだけだよ」
と、平然と言った。
そして続けた。



「強引に連れ出したのは悪いって思ってる。でも、どうしても一緒に帰りたかったから。最近は一緒にいる事がなくなったから」


「っ……」


「それでさ、少し寄り道しない?一緒にパンケーキでも食べに行こう?」



僕からの誘いにまひろちゃんは「でも……」と明らかに戸惑っている。




露骨に困った顔しないで。

どうせ、誘ってきたのが如月なら喜ぶんでしょ?

行きたいって即答するんでしょ?


相手が僕だから、戸惑う事しかできないんだ。

そして僕も、結局は彼女を困らせる事しかできないんだ。