甘く苦い、毒牙に蝕まれて




「近藤くんっ!よかったら俺と一緒に」


こっちに駆け寄ってくる泉川を気にも留めず、カバンを抱えて大急ぎで教室を出た。

向かったのはもちろんまひろちゃんのクラス。



教室を覗いてみると如月と楽しそうに話しているまひろちゃんが真っ先に目に入った。


「……随分と、楽しそうにしちゃって」


僕の前じゃ、そんな風に笑わないよね?

なのに如月の前ではそうやって普通に笑えるんだ。


ギュッと唇を噛みしめて、ズカズカと教室に足を踏み入れた。



「まひろちゃんっ!」


話してる2人の間に割り込んで、わざと大きく声をかけた。

急に邪魔に入った僕に2人とも驚いた顔をしている。


構わずまひろちゃんの手を取って「一緒に帰ろうっ」と言って歩き出した。



「ちょっと真守くんっ……!」


確実に嫌がっている。
それでも、強引に手を引いた。
あいつが追いかけてくるかもしれないから、なるべく早足で……。


下駄箱に着いて足を止めた時、まひろちゃんは勢いよく僕の手を振り払った。