「悪いけど、ここにいて」
「えっ…」
リュカの方を見るとさっきの笑顔はかけらも残っておらず無表情になっていた。
それどころか殺気が微かに混じっている。
「何か用かな?」
リュカの声音は低く冷たい。
50人のうちほとんどが男で、女はちらほらいる。
だが、表情からしていい人ではない。
「そこの男、見たことねぇなぁ。グルテカの魔女さんよぉ」
1人の男が広角をあげてゲラゲラ笑い出す。
それは他のやつらも一緒だ。
「地上の者(もん)だろ?身に付けてた物をよこせ。
それに美形だからなぁ高く売れるぜぇ」
この中に昨日、洸輝が落ちてきたのを見た者がいたのだろう。
(やっぱり…鳳火組織(ほうかそしき)か。
緋位家の者の前で魔法は使いたくないんだけど…そうはいかないよね…はぁ)
リュカはため息をついた。
鳳火組織はグルテカを縄張りとし、
住民に暴力をふったり、
お金や物、人を奪い又は売るという、
犯罪者の組織だ。
「ねぇ…もう見逃せないよ?」
リュカの声音は本当に冷たく、狩人の眼をしていた。
それを聞いた鳳火組織の者はまたゲラゲラと笑いだした。
「ククッこの人数をか?
言っとくがなぁここにいる全員はカトレアンだ。
今日でグルテカの魔女はおしまいだなぁ。」
静かだったグルテカの街に下品な笑いが響き、
まだ眠っていた人々は遠くにあるリュカの家へと視線が集まる。
「リュカ…ここは俺がやるよ。」
洸輝はいつの間にかリュカの1歩前にいた。
「なんだなんだぁ?地上の者が前に出るとはなぁヒヒヒ。野郎共やっちまえぇ!」
すると後ろにいた男、女たちが洸輝に向かって魔法を放つ。
火、水、風、雷、土など様々な魔法が洸輝を襲う。
「燃え尽くせ 滅焼覇 (めっしょうは)」
洸輝の火属性の魔法は他の者とは比べ物にならない威力で敵の魔法を全て滅した。
「なっ!なんなんだ!こいつ!!」
鳳火組織の者たちは1歩後退る。
流石にリュカも驚く。
「で、まだやるの?」
洸輝はニッコリと笑顔を見せるが鳳火組織の者からすると
「まだ来るんだったらこんなものでは済まさないよ?」
と、言いたげな顔にしか見えない。
「くっ…何してやがる!全員上位の魔法を放て」
1人の男が命令を出すと後ろにいた者が一斉にさっきより威力が強い魔法を放つ。
「なんどやっても同じだよ」
洸輝はまた滅焼覇で全て滅した。
「私が言うのもあれだけど…まだやるの?」
リュカは冷たい眼を向けると鳳火組織の者は逃げてしまった。


