「人針 リュカ……
んーじゃあリューちゃんね!
リューちゃんは地下出身なんだよね?」
メルははっきりとした声で言った。
だが、リュカからすると地下出身よりも名前が気になってしょうがなかった。
「りゅっ…りゅーちゃん?」
困っていると隣にいた洸輝はクスクスと笑いながら説明してくれた。
「メルはあだ名をつけるんだよ。」
洸輝の言葉にメル以外が頷いた。
リュカのあだ名(?)は 魔女やら女神やらでリュカという名前でのあだ名は初めてだ。
「そう、私は地下出身だよ」
あだ名はさておき質問されたことに答えた。
別に隠すこともないし、名前を聞けばすぐに分かる。
「お~!この学校に地下出身者はラルラ先生だけだったんだ!
すごく気になるんだよね!」
メルは目をキラキラと輝かせ、リュカの目の前まで顔を近づける。
「そっそう…」
リュカは顔の近さに若干引く。
それを横で見ていた洸輝はクスッと小さく笑った。
「こら、メル。リュカが引いてるぞ。
そこらへんにしときなよ」
洸輝に助けを求めるべく目を合わせると洸輝は答えてくれた。
「おっと!これはごめんね」
メルは引き気味のリュカを見て顔を遠退ける。
「確かに地下については気になるな…」
地下に興味をもったのは隆也であった。
地上に住む人々は裕福な家庭がほとんどで特に王都となれば余計にだ。
そして、貴族が多いこの学園では地下に関して関心がなく興味を示さない人々がほとんどの中で興味を示したのだ。
珍しいな とリュカは思ったが口にはしなかった。
「地下には犯罪者がうようよいる…それに暗いし…」
リュカが今まで見てきた地下の…闇の街を思い浮かべる。
生きるので精一杯で、地上での犯罪者が地下でいいように生きている。
これはリュカが生まれた時からそうなので仕方がない。
それは1つの運命なのだと受け入れるしかないだろう。
「でも、地下の人達は全員ではないけど優しいかな…
自分のことで精一杯なのに人の心配もしちゃうくらいね。」
リュカはクスッと微笑む。
学校の友達も親もいなくなり1人になったリュカ。
親戚の家は遠くとてもではないが行ける訳もなく1人街を歩いていた時だ。
お店を経営している店長のリーサに働かないかと誘ってくれた。
お金があと少ししかなかったリュカにとってはありがたいことであった。
だが、リーサも当然貧しい。
とてもではないが人を雇えるようなお金は無かったはずだ。
それでも少しではあるが給料はちゃんとくれる。
それだけでやっていけるぐらい。
「闇の街は暗いよ…闇が深く根付いてる。
地上からしたら到底やっていけないと思うけどね。」
リュカはたまたま女神なんて呼ばれているからかもしれないが、誰もが優しい訳では無い。
餓死で亡くなった人たちの死体が普通に道端にある。
最悪、骨になって誰が誰だか分からない時もある。
「そうなんだ…」
メルたちの想像とは違ったらしくどこか悲しい眼差しをしていた。
「あっ、同情はいらないよ。
実際知ってないのに可哀想とか思われたくもないから」
リュカはメルたちの反応を見てため息を着きながらつめたい声で言った。
「あっごめんなさい…」
リュカのその冷たい視線に怯えてしまった里華は里都の後ろに隠れた。
「あっ…」
ついついいつもの癖で犯罪者を睨む時のような目付きをしてしまったことに気づいたリュカは どうしよう と内心困り果てる。
「まぁまぁ、リュカは昨日地上に来たばっかりなんだ。
辛いことも僕達よりもっとあったと思うけどそれを質問攻めにするのも良くないから…ね!
だから、地下の話は終わり!」
洸輝は手を2回叩いて違う話題に切り替えた。
そうだな と七瀬も洸輝の話題に乗り釣られるように他のメンバーもその話で盛り上がり出した。
「ごめんな、困っただろ」
「うん。正直助かった、ありがと」
リュカと洸輝はみんなより少し離れた場所で話していた。
まだ、リュカにとって地上は未知の世界。
どうすればいいのか全くわからないのが現状で洸輝の助けはありがたいものであった。
「少しずつでいいよ、大丈夫だ!俺もいるしな」
そう言ってリュカの頭を撫でた。


