少女は家に帰ってご飯の支度をする。
今日は地上の天気が悪く光があまり入ってこない。
「ふあぁ。やっぱり眠たいな……」
眼を擦っていると
ドン ガシャーーン!
何かが落ちてきた。しかも家の近くだ。
「なに?」
少女は恐る恐る音のした方へ行く。
落ちた所は日が当たる(=地上まで穴があいている岩)畑の近くにある小屋からだ。
小屋の屋根に穴があいていることに気付き、
少女は息をのみながらドアを開ける。
「……!!!!……ひーちゃん」
少女は千本を召喚し構える。
小屋の中から何か影が見えたからだ。
よく見ると人だ。
身なりのいい少年が藁の上で仰向けに倒れていた。
藁の山は崩れている。
どうやら藁がクッションの代わりになったようだ。
服からして地上の人間だ。
銀髪の美形で今は気絶している。
「……大丈夫?……」
少女は少年を揺さぶる。
「……ん?……ここは?」
少年は気づいて周りをキョロキョロと見始めたが起き上がろうとしない。
どこか痛いのだろうか と少女は考える。
そして、周りを見ていた少年は少女を黄色い瞳でじっと見る。
「ここはグルテカ。」
「グル……テカ?……あの闇の街?」
「…そう。」
少女が頷くと少年は納得したようで周りを見ることをやめ、少女を見る。
「それで、君は?」
「その前に立ったら?」
少年の問いかけを無視して手を差しのべる。
「そうだね……つぅ!!!!」
手を受け取り立とうとすると足に激痛が走った。
それに気づいた少女はすぐさま少年の足を診る。
激痛が走ったところを押さえると少年の顔がすこしゆがむ。
「……っ!!!!」
「ごめん……ここかな……多分骨が折れてる。」
少女は少年の肩を貸す。
「とりあえず、家に……」
少女は少年の足を気にしながら自分の家に向かう。
今はもう眠いなんて言っている場合ではない。
家に運んだのはいいが、ソファも椅子も無い
いや、椅子はあるにはあるが壊れかけなのでやめ、ベットに座らせ足の手当てをする。
「……ごめんな…」
少年は申し訳なく頭を下げる。
それを見て少女は首を横にフルフルとふった。
「助けてくれてありがとう。俺の名は
緋位 洸輝 で16歳。君は?」
洸輝は少女に聞く。しかし、少女から返ってきたのは意外な言葉であった。
「あなたのような人はここに来たらダメ。」
「えっ」
いきなりだったのでフリーズしてしまう。
「あなたも知っている通りここは闇の街
貴方のような地上の人は来るべきところではない。」
少女の言葉はとても冷淡だった。


