「終了……と、大丈夫ですか?」
「あっ…はい!ありがとうございます。」
あっけにとられていた女性はリュカの声で我にかえる。
「本当にありがとうございます!サルムテルム・ベアン」
女性は涙を流しながら何度も頭を下げる。
「いいえ、これが私の仕事ですから…
さぁ、子供達が待っているのでしょ?」
家の方を見ると、まだ4~6歳の男の子2人女の子1人が戸を半分開けてこちらを見ている。
「はい!それでは」
女性は笑顔で答え、家に向かって歩く。
近くになると子供達が涙目で女性に抱きつく。
「さて、戻りますか。」
母と子の様子を見て安全を確認したリュカは店の方向に向かって歩き出した。
※。.:*:・'°☆※。.:*:・'°☆
「あら、帰ってきたね」
丁度、店の裏手にいたリーサがリュカに気づいた。
「すみません。今帰りました。」
「いいのよ!本業をすっぽかしたらそれこそ私は許さないわよ?」
冗談混じりの声で言うリーサにリュカは苦笑いしかできない。
「あっ!リュカやっと帰ってきた。」
洸輝は食べ終わった皿やコップを運んでいた。
その姿にもはや貴族には全く見えなくなってきた
「どうしたの?」
「えっ…なんでも?」
「なぜ疑問形?」
「あはは…」
またもや苦笑いしかできないリュカはさっさとテーブルを拭きに行った。
(あー…後からなんか言われそう…)
テーブルを拭きながらそんなことを思っていた。
「あら、もうこんな時間。リュカちゃんもうあがっていいわよー!」
リーサはリュカに呼び掛ける。
はい と返事をして服に着替えて店を出た。
「えーと…これと、これと……」
リュカと洸輝は仕事が終わったついでに買い物をしていた。
今日の晩御飯の食料と調味料が丁度切れていたのだ。
グルテカは地下の町であり、貧しい町だ。
食料や調味料も地上の人々ならば買うのは当たり前の値段がグルテカでは高い。
しかも、地下なので木や草もほとんどはえていない
(木や草は日が当たるところに少々あるぐらい)ため餓死する者もいる。
リュカは家があり仕事があるため生活できているが、親のいない子供は30%の確率で死亡している。
(……大人も子供も地上の人よりなんだか暗い……本当にここがグルテカなんだな……)
洸輝は顔を前に向けたまま目を動かして周辺を見ては 今、自分はグルテカにいるんだ と実感する。
「……洸輝?どうしたの?」
リュカは洸輝の顔をのぞきこむと洸輝はびっくりして、後ずさる。
「!!びっくりした。わるい、ぼーっとしていた。」
リュカは洸輝の反応を クスッ と笑う。
その表情を見て、洸輝もつられるように笑った。
「それで、何回も言うけど何してたんだ?」
洸輝は突然いなくなった理由をまた聞いてみた。
「うん。しつこい。」
リュカは笑っていない笑みで洸輝を見た。
それでも、気になるものは気になる。
「……はぁ。それだけは本当に言えない。」
リュカは ジー とリュカを見る洸輝にため息をついて言った。
「……まぁ、秘密はあるよね。ごめん。」
流石にあきらめた洸輝ではあったが、やはりまだ気になっているようだ。


