歩いていけるよ、ちゃんと。 茜と同じ場所を。みんなと同じ場所を。 やっと、ちゃんと、ここから。 ほんの少しの間の後、 『日向、おつかれ』 茜がそう言った。 頑張ったな、とかじゃなくて。 よかったな、とかじゃなくて。 不器用な茜のそんな一言が、ありえないほど私を癒す。 目を閉じて、息を吐いた。 「うん、ありがと」 そしてほんの少しこみ上げた涙をこらえて、電話じゃ見えないけど、きっと茜は分かってくれるだろうなって。 笑って、返事を返した。