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「…なぁ、お前らどーすんの?」
理事長室を出て、廊下を歩く白鳥と鳴海に問いかければ、2人は足を止めて俺を見た。
「…どうもなにも、西園寺姫乃とかいう女を笑わせないと進級できないなら、やるしかないだろ」
白鳥はうざったそうに溜息をついた。
「俺も〜。さすがに留年はやばいし〜。てか、女の子相手なら得意分野だし、楽勝〜!」
鳴海がピースをすると、白鳥がそれを嘲笑うかのような顔で見る。
「しょうもない得意分野だな」
「いやいや、大事っしょ〜。なんなら俺が勉強しか取り柄のない白鳥くんに女の子の扱い方教えてやろうか〜?」
「なんだと??」
えっ、なんでそんな嫌悪な雰囲気に…?!
「ちょーい!待て待て!!ここはチームプレイでいこうぜ?!チームプレイ!!」
理事長も協力して笑わせろって言ってたことだし、ここで仲違いはまずい!仲良くいこうぜ?!
俺が2人の間に割って入ると、
「部活を退部したくせに、体育会系を気取るのはやめろ」
白鳥の言葉に、「…あ?」と俺は静かに白鳥を睨みつけた。
……こいつ、他人が触れてほしくねぇところに触れてきやがって。
ていうか、
「頭良くても留年の危機のくせになに言ってんだよ」
俺がふんっと鼻で笑うと、白鳥はふんっと鼻で笑い返してきた。
「僕からして見たら、全教科赤点のほうがよっぽどヤバいと思うけどね」
「あ、それは俺も思ったぁ〜!」
鳴海にもケタケタと笑われ、俺は認めるしかなかった。
自分の馬鹿さを。
……というか、こんなんで大丈夫か?
俺達。
よくわかんねー理事長の孫とか、笑わせられんのか…?



