「……えっ…マジで言ってんの…?」そう言って目をこれでもかと見開いている鳴海に、俺は頭の中がクエスチョンマークだらけだった。
「……えーっと、白銀財閥とは…?」
俺が遠慮がちにそう聞くと、
「はぁ?!お前知らないのかっ?!」
うおぉ!!白鳥、お前そんなデカい声出せたんだな!!
「…やっぱ全教科赤点だもんな。しょうがないか〜」
おい、鳴海!!諦めないでくれ!!
俺に見かねた白鳥が額に手を置きながら「はぁ…」と呆れた溜息を吐いた後、説明をしてくれた。
「白銀財閥は日本経済を動かしている大手企業グループの1つだ。今じゃそのトップで、国家権力とも親密だと言われている」
大手企業グループ?!トップ?!国家権力?!
えっと、なんかよく分かんないけど……
「アイツっていいとこのオジョーサマってことか?!」
「そっ。アイツ呼ばわりして良い相手じゃないってこと〜」
確かに鳴海の言う通りだけど……
「でも……苗字違くね…?」
隠し子…?愛人の子…?
金持ちならそういうことあるんだろうけど……
気づいた疑問に、白鳥は待ってましたと言わんばかりに眼鏡をくいっと上げる。
「元々、彼女の両親は政略結婚だったらしい。それが上手くいかなくなり、彼女が中学に進学する前に離婚をしている。西園寺は母親の姓だ。………が、その母親も今は病気で他界している。理事長が後見人といったところだ」
愛のない政略結婚で産まれた西園寺……
離婚して、母親に引き取られて、けどその母親も死んで……
そして今は理事長が親代わり……
凄まじい情報量に、頭がパンクしそうだ。
正直、重すぎる……。



