お姫様のメランコリー



俺達は弁当を食べようとしているのを他所に、西園寺は無表情のままピクリとも動かない。



えーっと…


「た、食べねぇの…?」


俺が遠慮がちに聞けば、


「食べていいとは言われてません。」

「は?」


いやいや、……え?



「これどう考えても俺達に用意された弁当だし、食べていいっしょ〜」

鳴海の言うことはごもっともなのに、西園寺は動こうとしない。

どうしたもんかと見ていれば、


「理事長が食べていいと言っていた」

「……本当ですか?」

「…あぁ」

「では、食べます。」


白鳥の言葉に、西園寺はやっと動き出す。



なんだあいつ。弁当食べんのに理事長の許可も必要なのかよ。

戸惑いながらも俺達も弁当を食べる。


そして、

うんまーーーー!!!なんだこの弁当!さすが高級焼肉弁当!!

うまさに感激した。


目の前の西園寺は淡々と綺麗な仕草で弁当を食べていて、まるで人形が食べているかのような異様な光景に感じた。