お姫様のメランコリー



「じゃあ後は若い人達だけで」そう言って理事長と校長がいなくなった部屋。


「………」

「………」

「………」

「………」



訪れたのは沈黙。


いや、だよな?!そーなるよな?!

おい、誰か喋ってくれよ!

あっ、鳴海!お前女子の相手は得意だろ?!

そう目線で訴えかけるように鳴海を見れば、鳴海は「無理無理無理」何故か頭を横に振るう。

いや、なんでだよ!!


……しょうがねぇ、ここは俺が、と思った時だった。



「…僕は白鳥政宗。好きに呼んでくれて構わない。改めてよろしく」

西園寺姫乃に対し、先陣を切ったのはまさかの白鳥だった。

え、あいつ素直にすごくね?



「はい。私は、西園寺姫乃と申します。私も好きに呼んで頂いてかまいません。」

「そうか…。なら、これから長い付き合いになりそうだ。姫乃さんと呼ばせてもらおう」

「はい。なら、政宗くんと。」



……えっ、これ見合いかなんかなの?

長い付き合いって…?しかもいきなり下の名前…?

え?え?

白鳥って以外と女の扱い慣れてる…?!


驚いていれば、鳴海も白鳥に負けじと口を開いた。


「あっ、俺は鳴海恭弥!俺は姫ちゃんって呼ぶから、俺のことも好きに呼んで!姫ちゃんみたいにめっちゃ可愛い子初めて会ったわ〜!」


姫ちゃんんんん?!
全っ然そんな顔してないけど?!

いや、確かに笑えばそうかもしれないけど、
……もしや鳴海、"恭ちゃん"って呼ばれるの期待してね…?ナチャラルに口説いてね…?


「恐縮です。よろしくお願いします。恭弥くん。」


ハイ、どんまーーーい!!!恐縮ですって!!

じゃねぇ!俺も自己紹介!

……俺は普通に西園寺って呼べやいいや。うん。


「俺は五十嵐律!よろしくな!」

「はい。よろしくお願いします。」


自己紹介したはいいものの、西園寺の目には変わらず何も映っていない。


「……よし、じゃあ食べようぜ!」

またもや沈黙が訪れそうになって、俺はわざと声を張り上げた。

理事長がせっかく高級焼肉弁当用意してれことだしな!