放課後、キミとふたりきり。


そんなこといままで考えたこともない、と言いたげな表情に笑ってしまいそうになる。


「肉さえあればいいけど。それ以外……ピーマンかな」

「矢野くんちのカレー、ピーマンいれるんだ?」

「え? 入れるだろ?」


ドライカレーにみじん切りにしたパプリカは入れる。

赤と黄色両方入れる。


けれどピーマンとパプリカは、形は似ていても、似て非なるものだろう。


「うちは入れないなあ。ナスなら入れるけど」

「げっ。ナスこそねーよ。ぐにょぐにょになりそう」


意外なほどに盛り上がるカレー談義を交わしながら、内心は焦っていた。

矢野くんの好みを知れたのは嬉しいけれど、ここからどう、思い出話でしんみりさせていいのかがわからない。


過去を振り返り、このクラスでいかに楽しい時間を過ごしたか思い出してもらい、最終的には転校のことを打ち明けてもらわなければいけないというのに。