家族でどこかに出かけること自体が、うちではほとんどなかったから。
「そういや、俺ら同じ班だったな」
「う、うん。そうだね」
笑顔を作りながら、冷や汗をかく。
同じ班で、あの時もわたしは矢野くんに怒られていた。
そのことを矢野くんは覚えているだろうか。
「何作ったんだっけ」
「ええと……シーフードカレーと、サラダを」
矢野くんは小さく「カレー……」と呟くと、道端でガムを踏んでしまった時のように、不意に不快なものを触れさせられたという顔をした。
「ああ、そうだった。カレーだ、カレー。野外で作るなら定番のカレーだろってなったんだよな」
「栄田くんがはりきって力説してたもんね」
「そうそう。あん時は栄田に全面同意だったよ。それなのにシーフードとか、意味わかんねぇよな。カレーっつったら肉だろ、肉。鶏肉、豚肉、牛肉どれにするって話ならわかるけど、シーフードって。カレー舐めてんのか」
「ご、ごめん」


