そう思った時、突然教室の後ろのドアが開かれて、わたしたちは同時にそちらに顔を向けた。
「あれ? 珍しいふたりが残ってるなあ。我がクラスのクラス委員コンビじゃないか」
穏やかに笑って教室に現れたのは、わたしたちの担任の小森先生だ。
相変わらずヨレヨレの白衣を着て、どこか頼りない雰囲気を醸し出している。
矢野くんは無言でさっとアルバムを閉じ、机の横に隠すように置いた。
どうしたんだろう、と思ったところでハッとする。
そうだ、矢野くんの中でこのアルバムは、明日小森先生の誕生日サプライズで渡すことになっているんだ。
つまりここは、慌てるところ!
ぼけっとしていちゃいけないんだ!
矢野くんにも「早く片付けろ」というような目を向けられ、急いで机の上のものを中にしまう。
「ふたりとも、何か用事?」
先生はポケットから画びょうのケースを出して、掲示物を外し始める。
新しい掲示物に替えるようだけど、なんて間の悪い。


