期待がはずれることもあるけれど、たまに「これはすごい!」という商品に出会うと嬉しくなって、茅乃に熱く語りオススメしては、よくあきれられている。
文房具が好きでよかった。
矢野くんにプレゼントするアルバムを作るのに、役に立てる。
重いペンケースの持ち運びに耐えていた日々は、この時のためにあったのだ。
「へー。すげぇ。俺のペンケース、シャーペンと芯と、赤ペンしか入ってねぇよ。あと消しゴムと定規か」
必要最低限、というラインナップだ。
それも彼らしい、とこっそり笑う。
「それはまた少ないね」
「いや、そっちが多すぎなんだろ。俺は普通。あ、でも栄田のペンケースはでかいな。あと汚ねぇ。なんかゴミとか入ってるし。つーかあいつは鞄の中も汚ねぇんだよな……」
置きベンしてるくせに、とぶつぶつ文句を言う矢野くんの顔は笑っている。
矢野くんはどの男子とも仲が良いけれど、栄田くんはその中でも特別だと思う。
言いたいことを言い、小突き合いながら笑っている。


