学級委員になったのも、わたしと彼では経緯がまるでちがう。


4月の委員を決めるHRで、学級委員の枠がなかなか決まらなかった。

立候補する人がいなくて、時間になっても教室は静まり返り、みんなが顔をうつ向けお通夜のようになっていた。

しばらく固着状態がつづいたけれど、最終的に部活に所属していない生徒から選ぶことになり、わたしに白羽の矢が立った。

単に帰宅部で委員が決まっていないのが、わたしだけだったから。


みんなに頼まれ断り切れなかったけれど、向いていないのは自覚していた。

人前に立つこと以上に、大勢をまとめることが苦手だ。

指示され動く方が、断然向いている。というか、それしかできない。

わたしはいわゆる指示待ち族と呼ばれる人種なのだ。


それでも断れなかった。

委員の仕事よりもさらに、誰かの頼みを断る方が苦手だから。