振り返り、矢野くんを見上げると、彼は目を丸くしてわたしを見ていた。
ハッとして口元を押さえる。
わたしいま、調子に乗ってペラペラしゃべり過ぎていた気がする。
もしかして、すごく馴れ馴れしかったんじゃないだろうか。
サーッと血の気が引いていく音が聴こえた。
「う、あ、あのっ。い、いまのは、その……」
謝る? 謝るべき?
調子に乗ってごめんなさいって言うべき?
あわあわとひとり慌てるわたしを、矢野くんはじっと見つめたあと「別に、全部買えばいいんじゃね?」と言って、私の手からマスキングテープを取っていった。
その時かすかに彼の指先が私の手に触れた。
不意打ちの温もりと感触に、何かを叫びそうになった。
「まだ予算余ってるし。足出ても、また徴収すればいいだろ」
「そ、そっか。うん、わかった。じゃあ……」
無地のセットひとつと、柄物をいくつか選べばいいかな。
サイズは使いやすい太さのものにして、色の組み合わせは―—。


