放課後、キミとふたりきり。


私のそんな羞恥心など気づかない様子で、矢野くんは続けた。


「俺、まじでセンスないから役に立たないと思うけど、いいのか?」

「あ、あの。私も別にセンスがあるとかじゃないから、期待しないでほしいんだけど……」

「美術部だし、沢井はセンスあるだろ。俺の去年の美術の成績は2だ」

「えっ。に、2ですか」


ちなみにうちの学校の成績評価は五段階ではなく一〇段階である。

普通は堂々と言えないことなはずだけれど、矢野くんは胸を張って言った。

恥ずかしいなんて思っていないんだ。


大好きな美術で成績一〇をとれても、なぜか恥ずかしくて口にできない私とは、本当にちがうなあと感心する。


「矢野はある意味画伯だから。がんばってね、沢井さん」


栄田くんにさっきわたしがしていたガッツポーズで応援され、私は曖昧に笑って返した。

なにをどう頑張れば良いのか、さっぱりわからなかったのだけれど。