放課後、キミとふたりきり。


確かに中学2年生の時、美術部の活動の中で描いた作品で賞をもらった。

審査員特別賞ということで、賞状をもらい、商業施設の一画で開かれた展覧会にも飾ってもらった。

後にも先にも、あんなに大きな賞をもらえたのはあの作品だけだ。



「でも、よくわたしのだってわかったね?」


矢野くんは目を細め、過去の景色を見ているような表情でうなずいた。



「すげぇ印象に残ってたから」

「え……印象?」


そんなに印象に残るような絵だっただろうか。

どちらかというと私の絵はよく地味と言われる。

同じ展覧会でいちばん目立つ場所に飾られていた、大賞をとった虹色の雨のような抽象画の方が、断然印象的だったはずだ。


それなのに、矢野くんはわたしの絵を思い出しているのか、眩しいものを見るように「いい絵だった」と言う。



「あの時の大賞の絵がどんなのだったかはさっぱり思い出せないのに、沢井のあの絵はいまでも鮮明に覚えてる。『僕らの放課後』だよな」

「タイトルまで……どうして?」